モバイルファーストとは?|新しい時代の価値観を作れ

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mobilefirst002モバイルファーストとはスマホ利用者が増えたことを背景に「モバイルを起点にしてサービスを作り上げること」である。

しかし、いまいちピンときている人は多くないように見える。

その理由としては「モバイルを起点にしてサービスを作り上げること」は正しい理解であるものの、本質的な解釈とはかけ離れており、どこか曖昧な部分があるからなのかもしれない。

モバイルファーストの本質とは、サービスのイノベーション(人・企業・社会の変化をもたらす改革)のことである。

そのため「モバイルを使って新しい価値観をユーザーに与えること」と理解するべきだ。

Webの価値観がダイナミックに変わって来ている近年、エンジニアやWebデザイナーなど限られた職種の考え方ではなく、会社として、どのような新しい価値を世の中に提供できるのかという点を考えることから始めなければならないだろう。

モバイルファーストという概念や背景を正しく理解すれば、自社のweb展開の考え方に大きく貢献できるはずだ。

おそらく、次のサービスや価値を提供するのに大きく役立つだろう。

-目次-
1 モバイルファーストの概念を正しく理解する
2 モバイルファーストの事例
3 スマホの登場が世の中の何を変えたのか
4 モバイルファーストの実践
5 モバイルファーストではない例

1 モバイルファーストの概念を正しく理解する

mobilefirst018モバイルファーストとはサービスの革新のことであるが、現代において何も特別なことではない。

高機能化したモバイル機器を使ってユーザーができることが増えたので、その機能を使ってユーザーにより高い価値を提供することは、常日頃サービスとしてどんどん新しいものが出てきている。

簡単な例としては、今までのモバイルサイトはwebサイトのおまけ的な立ち位置としての存在程度であったが、今はモバイル(スマホ)からのアクセスがPCからのアクセスを抜いてしまう現象が起きており、スマホサイトからデザインを考えている会社が増えてきているのはご存じの通りだ。

サイトの打ち出しだけでなく、モバイルファーストについて考えることは、今後のビジネスをどうしていくのかについて考えることと同じことだ。

まずは、モバイルファーストがいつから提唱されはじめたかについて見ていこう。

1-1 提唱者ルーク・ウロブルスキー氏と著書「MOBILE FIRST」原文

mobilefirst002Web上で調べたところルーク氏の経歴は以下の通りだ。

引用:http://all-web.org/ala/person/luke-wroblewski/

Luke氏は、株式公開の9ヵ月後でTwitterに買収された「Bagcheck」のチーフプロダクトオフィサー(CPO)であり、創設者グループの一 人です。それ以前は、Luke氏はBenchmark Capitalで客員起業家をしており、また、Yahooのチーフデザインアーキテクトとしてウェブ、モバイル、テレビなどにおける時代を先読みした顧客 体験の追及と製品開発を行っていました。Luke氏は”Web Form Design”と”Site-Seeing:A Visual Approach to Web Usability”の著者です。

アメリカのYahoo!で情報構造設計を担当されてきた方でプロ中のプロだと思って間違いないだろう。

モバイルファーストの概念は氏の著書「MOBILE FIRST」で発表されている。

-designing for mobile first not only prepares you for the explosive growth and new opportunities on the mobile internet, it forces you to focus and enables you to innovate in ways you previously couldn’t.

翻訳をすると、

―モバイルファーストの実践とは、モバイルインターネットの爆発的な成長にただ準備することだけではない。ユーザーが本当に必要とすることにフォーカスすることで、これまでできなかった方法でのイノベーションが可能になる。

この言葉からいくつかのルーク氏の示唆を読み取ることができるだろう。

ただ準備することだけではない」という点ではスマホの普及に対してただ対応するだけでは正しくないという意味だ。これは例えばスマホ自動変換ツールなどでスマホ端末に最適表示されたWebサイトを提供すればよいということではない。

ユーザーが本当に必要とすることにフォーカス」という点では時間や場所の制約を受けないモバイルユーザーの利用シーンを想像し、その時々で本当に必要とする情報や体験を正しく設計し、不要なものは排除することが求められるのという意味と理解できる。「フォーカス」というのが重要な視点だ。

これまでできなかった方法でのイノベーションが可能」というのは革新的なイノベーションが起きうることを言っている。ただジョブズ氏を見てもそうだが、アメリカの方がいうイノベーションと日本語の革新は若干意味合いが感覚的に異なっているところもあるかもしれない。「イノベーションが可能」というのは日本人にとっては「サービスを作ることができるだろう」という意味合いだと私は思っている。

1-2 モバイルの制約と実装されている機能

モバイルファーストを実践するための企画を考えるにあたって「モバイル」の特性を正しく理解する必要があるのは感じるところだろう。

1-2-1 制約

<画面サイズ>
パソコンに比べてモバイルは画面サイズが小さいためサイト閲覧や入力などの操作がしにくい。

そのためユーザビリティ上の工夫が極めて重要となる。

<タッチパネル>
モバイルはスクリーンパネルによる画面タッチ操作であり、パソコンはキーボードによる入力である。

そのためモバイルを設計する時はタッチ操作を意識した情報設計が必要となる。

<接続方法>
モバイルはwifi、LTE/3G回線など接続方法を切り替えることと外出先や移動中などの通信環境の影響によって接続が不安定になることもある。

<利用場所>
職場ではパソコンを利用し、モバイルは職場、自宅、移動中、外出先など場所に関わらず利用する。外出先でもパソコンは利用するがパソコンを利用する用途がなければスマホを利用する。

利用する場所が違えばユーザーが求める情報も当然に異なってくる。

<利用時間>
プライベートのパソコン利用は夜が圧倒的に多いが、スマホは起床してから寝るまでの間、一日中利用している。

1-2-2 機能

・カメラ
・GPS
・加速度センサー
・NFC(FeliCaなどの近距離無線通信)
・ジャイロ(方角)
・Bluetooth
・マイク/スピーカー

パソコンにもデバイスによってはカメラもあるし、マイクやスピーカーもある。

モバイルの機能を考えるとやはりGPSやNFC、ジャイロなどを用いたユーザーの外出先利用がイメージしやすいだろう。

1-3 コンセプト→コンテンツ/機能→ユーザビリティ

モバイルファーストを実現するためには3段階ある。
mobilefirst004「1:コンセプトメイキング」が最初であり、次がコンセプトを実現するための「2:コンテンツ/機能」であり、コンテンツ/機能をより使いやすくするための追求「3:ユーザビリティ」だ。

「1:コンセプトメイキング」はどのような状態(時間、場所)のユーザー(属性)が、どのような体験をし、どのような成果を受け取れるのかを考えることにより新しい価値を作るのか定義しよう。

「2:コンテンツ/機能」はモバイルユーザーによって何が最適な情報なのかを考える。モバイルは表示領域が狭いのでユーザーが要らない情報は載せるスペースはない。「モバイルファーストとはコンテンツファーストのこと」と定義する人もいるのは、ある意味ではあたっていて、どのような情報を届けるのか吟味し、絞って、編集することは重要な要素だ。

「3:ユーザビリティ」はコンテンツ/機能をもっとも使いやすい遷移、表現を考えることによりユーザーの利便性を高めることだ。

1-4 レスポンシブウェブデザイン

アクセスがスマホに移っている以上、モバイルを中心にサービス設計をすることは自然な流れではあるが、「レスポンシブウェブデザイン」はモバイルファーストを実現するための答えにはならないだろう。

なぜならばモバイルとPCとタブレットではユーザーが求めるものは同じではないからだ。

技術的な詳細は本稿では控えるが、モバイルを起点にしたサービス設計をするために「レスポンシブウェブデザイン」を検討するのは正しくない考え方だ。

2 モバイルファーストの事例

2-1ユニバーサル・スタジオ・ジャパン

引用:http://www.usj.co.jp/app/mobilefirst008
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン公式アプリでは園内に居る時に限り、「待ち時間」と「ルート付の園内地図」を提供している。園内に居ない時は利用することが出来ないので明らかにモバイルユーザー向けの価値を提供している。
mobilefirst006待ち時間を確認すればユーザーは効率的に園内で遊ぶことが出来るだろう。小さな子供連れの家族には子供の集中力を考えると重要なポイントであるし、カップル、友だちでも同じだろう。

従来は園内のインフォメーションセンターで混雑状況を確認していたはずだが、歩く時間や体力の消費を考えると、それらがなくなったことによりアトラクションに向うパワーが増え、結果的に顧客満足に大いに繋がるだろう。

2-2GU(ジー・ユー)

引用:http://www.uniqlo.com/jp/store/feature/gu/gmm/
mobilefirst009GUでは「モバイル会員」という属性を作っており、「モバイル会員」向けの割引を行っている。LINE公式アカウントへ友達追加すると、頻繁に「モバイル会員」向けのクーポンが届く。メルマガやアプリでも「モバイル会員」になることが出来る。

そのクーポンを店舗レジで見せると割引価格で購入できるという単純な仕組みではあるもの、ユーザーに値引きという価値を提供していることからモバイルユーザーへの新しい価値と考えてよいだろう。

日本マクドナルドのように店頭での認証は要らないのでユーザーが来店しているかどうか計測・効果測定できているのかは分からないが、店舗スタッフへの教育、商品企画担当による値引き額の設定、Webクリエイティブの表現など全社的にモバイルユーザー向けにサービスを提供しているという意味ではモバイルファーストと考えられる。

3 スマホの登場が世の中の何を変えたのか

「いつでも、どこでも、もっとも身近なメディアをユーザー一人一人が持っている」というモバイルの特性はガラケーからスマホに時代が変化しても変わりありません。これはモバイルファーストを考えるにあたって「モバイルを使うユーザーの利用シーンを想像する」という視点で重要です。

しかしユーザーにとってガラケーは「パカッと開いて通話がしやすく、ボタンが押しやすい点はよかったが通信速度や表現力が不十分だったためにインターネットはしにくかった端末」であるのに対して、スマホは「慣れればどうということではないが通話はややしにくいものの、ネットはガラケーに比べてとても使いやすい端末」と理解されているのだとすると、モバイルファーストの実践にあたって、もう少し踏み込んでスマートフォンとガラケーの違いを理解する必要があると思う。

3-1 ガラケーとスマートフォンはビジネスモデルが異なる

android端末を使っているあなたはiPhoneを使う友だちがApple Store(路面店)に行った時に「androidの店舗はないのに」とやや不思議に思ったことはないだろうか。
mobilefirst010またガラケー時代はdocomoやau、Softbankが提供するポータルサイトから情報を探していたのに今はそれら通信キャリアのサイトをまったく見ていない状況もイメージが沸くだろう。

ガラケーからスマートフォンへの変化はただ持っている端末が高機能になったということではなく、ビジネスモデル全体が変わったことを理解するとよいだろう。
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つまり、Google は広告収入、Apple は消費者を囲い込むこと、そして日本の通信キャリアは通信費で収益を最大化させることを目的にビジネスを展開しているということだ。ガラケーがより高機能なスマートフォンに変化したということではなく、通信業界からネット業界主導の業界進化が起きたということだ。

ハード(スマートフォン端末)が普及するとソフトウェア、コンテンツへと戦いは移っていきますが日本国内独自で成長したモバイル市場はこれからオープンでグローバルな市場になっていくことは間違いありません。

3-2 ノートPCの出荷台数

2014年度のノートPC出荷台数は1,000万台足らずで、2015年以降、微減していく予想だ。他にも様々な要因があるだろうが比較対象になっているスマートデバイス(スマホ+タブレット)の出荷数の影響と考えても間違っていないだろう。
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3-3 デジタルカメラの出荷台数

デジタルカメラ国内大手7社の2013年度の世界販売台数は合計で約6423万台と、前年度から29%減少する見通しである日経新聞よりデータがある。2012年度と2013年度の前年度比較ではあるが販売台数が減少傾向であるのはノートPCと同様にスマホ出荷台数が増えているからとも言えるのではないだろうか。
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3-4 インターネット利用時間

平成24年度の総務省のデータよりスマホによるネット利用は1日あたり1時間19分が平均である。過去3年間での比較では55%が増えていると回答している。パソコンも増えている回答が47.5%であるのでネット利用全体が伸びていると言えるがスマートフォンユーザーが顕著なのは明らかだ。
mobilefirst017他にもスマートフォンがどのような変化をもたらせたかを測るデータはあると思うが、市場構成、他デバイスの流通量、ユーザーのインターネットの利用方法まで多岐に渡る変革をもたらせたのがスマートフォンであることをまずは背景として理解しよう。

4 モバイルファーストの実践

実務としては下記の項目を考えることから始めてはどうだろうか。

①経緯やシステムの前提は抜きに又ビジネス論理はなしにして「どのようなことを提供したらモバイルユーザーにとって価値があるか?」を検討する。

②主要なモバイルユーザーが利用する端末を検討する。

③UI、Webデザイン、情報設計のスキルがあるプロジェクトメンバーを選出する。

④モバイルユーザーの利用シーンを想定する。

5 モバイルファーストではない例

例えば「乗換案内」(提供:ジョルダン)ではルートだけではなく「ホーム番線」や「天気」、「階段に近い号車」、「構内のトイレの場所」なども配信しているため、モバイルユーザーが外に居る時に利用することを想定した情報であり外出先で見ると確かに便利ではある。

し かし、「乗換案内」は元々パソコンで提供していたサイトをガラケーに機能縮小版として提供し、スマホにも対応したという経緯を考えると、「ホーム番線」等 の外出先で便利な情報をサイト・アプリで提供しているからと言って、モバイルユーザーに向けた革新的なサービス提供とは言い切るのは難しいだろう。

つまり、モバイルユーザーに向けて便利な情報・役に立つ情報をサイト・アプリ上で配信するのはユーザーを大切にする重要な施策であるのは間違いないがモバイルファーストの実践とは呼べないだろう。

もしあなたがモバイルファーストを実践するなら、今までの経緯はすべて消して、何を提供したらモバイルユーザーに新しい価値を提供できるのかという点を考えて欲しい。

まとめ

モバイルファーストという概念はユーザビリティのことではないし、コンテンツだけのことではないはずだ。新しいサービスを作る思考のことである。

スマートフォンが増えてインターネットとユーザーの関係性や利用動向は変わって来ているのは事実であるが、Webサイトの制作手順ではない以上、特に踊らされることではなく、ビジネスマンとして当然のこととして、サービスを生み出すきっかけにして欲しい。

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